ソリッドステートサバイバー
09/25/79発売
国内売上867,267枚(発売~1997年)
オリコン最高1位



◆Technopolis
作曲:坂本龍一 編曲:YMO
トキオ~でお馴染みのYMOバイブル曲。教授がピンクレディーの曲を研究してポップなテクノ曲を開発。最近、曲名の意味を「テクノ警察」と間違えている現代人多し。(涙)この曲によって「テクノ」という言葉が巷に流行し始めた。ちなみに、この種の音楽を「テクノポップ」と名づけたのは、音楽誌「ロックマガジン」の発行人である阿木譲氏らしい。それまでは教授は「エレクトリックパンク」と呼んでいたようです。ライディーンと同じく、当時のフジカセットCMのテーマ曲。フジカセットのCMキャッチフレーズには「テクノポリス25時」「音楽は104番目の元素」「F感覚で音楽を」「音楽はいつも先兵だ」「音楽は磁性紀に入った」「音楽は増殖を始めた」などが使われ、ポスターも奇抜なバージョンが数多く撮影された。ファイヤークラッカーやライディーンなどの代表曲と同じくこの曲もプロモビデオが制作されましたが、何故かテクノポリスのビデオだけイワカンを禁じ得ないのは主宰人だけだろうか?(笑) 尚、これらのプロモビデオはロン・ヘンズ氏&リチャード・ウァーマン氏が制作。シングルカットもされてますけど、アルバムとは少し異なったミックスとなっている。

◆Absolute Ego Dance
作曲:細野晴臣 編曲:YMO
細野氏の得意分野。チャルメラ系。沖縄のカチャーンなどを取り入れている。MC-8は14:10のハネらしい。お囃子はサンディー。

◆Rydeen
作曲:高橋幸宏 編曲:YMO
泣く子も黙るライディーン。テクノポリスと同じくYMOバイブル代表曲。この曲のコンセプトは黒澤明監督の侍映画。途中に出てくる馬の蹄音とレーザー音は騎馬隊の戦闘を意味する。ちなみに、その蹄音はQSを使って相位をずらすことによりヘッドホーンで聴くと頭の中を貫けて行く、当時としては珍しいステレオ音響技術を使っている。Aメロにアープ・オデッセイが使われていることは有名。さらに、間奏のSEの「ミュ~」はコルグ、「ピューン」はオデッセイを使用。昔は曲名は「雷電」とも書いた。この曲の小学生人気の秘密はアニメ「勇者ライディーン」の影響も多分にあると思われる。シングル「ライディーン」のジャケがそれを物語る。尚、この曲はどこかの(青山?)カフェバーでユキヒロ氏が鼻歌で歌ったメロディーを教授がティッシュペーパーに書き止めブロックコードにアレンジして誕生したというのが定説となっている。が、近年になってユキヒロ氏自身が「この曲は普段譜面を書かないボクが珍しく書いたことを覚えているので、その説ははたぶん中国女?じゃないかな。」と発言している。

◆Castalia
作曲:坂本龍一 編曲:YMO
教授の得意分野。怪しげ系な曲なのでワールドツアーでは1曲目(第2回目のワールドツアーはRiot in Ragos)に使われた。細野氏曰く、ライブで観客を緊張させるたに意図的にそうしたらしい。「Castalia」は旧ソ連の映画「惑星ソラリス」のイメージが「サスペリア」となり、最終的にギリシャ神話に出てくるキャスタリアとなったらしい。どーゆーつながりなんだ???(謎) メロディーにボコーダーが使われている。マイナー曲だと思われがちだが、リミックスする人々が多い。1993年の東京ドームの再生YMOライブでも演奏され話題となった。

◆Behind The Mask
作詞:クリス・モスデル 作曲:坂本龍一 編曲:YMO
海外アーティストに評価が高い曲。あのマイケル・ジャクソンもカバった。(笑)当初はアルバム「スリラー」に収録される予定でしたが、一説には教授がマイケル側の一方的な条件提示に対してNGを出したとも言われており、結局グレッグ・フィリンゲインズ氏やエリック・クラプトン氏のアルバに収録された。しかしマイケルの死後、アルバム「MICHAEL」に収録された。この曲はリフがギターでは演奏しやすく、コード進行がリズム&ブルース的な点が海外でウケる要因であると教授本人は分析しているようだ。オリジナル曲は教授がセイコー腕時計のCF用に書いた曲を強引にYMOの曲にしたもの。教授のボコーダーボーカルが印象的な曲。

◆Daytripper
作詞・作曲:ポール・マッカートニー 編曲:YMO
お遊び曲。1978年の六本木ピットインライブでビートルズの「デイトリッパー」を教授やゲストの鮎川誠氏らが即効で演奏したらウケたのでアルバムにまで載せてしまったもの。間奏のギターは鮎川氏オリジナル。DEVOのサティスファクション(ストーンズのカバー曲)に対抗して教授が即席アレンジしたものだが、形式はかまやつひろし版デイトリッパー(She was a...の歌詞から始まるタイプ)だそうです。ユキヒロ氏のボーカルはオクターブ・ユニゾン。鮎川氏はミカドに在籍していたユキヒロ氏と知り合いとなり紀伊国屋ライブを見に来たときにピットインのゲスト参加が決まったようである。鮎川氏曰く、楽屋に入るとき自分のギターをスーパーの買い物袋に入れて持って行ったところ、YMOメンバーに大ウケされて「ああ、この人たちとなら一緒にやれるな」と悟ったらしい。(笑) シナロケがアルファレコードに移籍することになったのもそんな流れがあったからであろう。

◆Insomnia
作詞:クリス・モスデル 作曲:細野晴臣 編曲:YMO
マイナーな曲ですが、何故かヨーロッパのライブではよく演奏されてました。(謎)インサムニアの意味は「不眠症」。当時、細野氏はマジで不眠症だったらしい。間奏ではアルバム「BGM」の「LOOM]で使われた無限音階の有限音階バージョン(ブリッジの無限音階は人間の可聴範囲外の周波数を全て含む)が聴ける。メロディーはコルグ。ボーカルは細野氏。WARの感じをドイツ仕掛けでやったものらしい。

◆Solid State Survivor
作詞:クリス・モスデル 作曲:高橋幸宏 編曲:YMO
YMOのニューウェイヴ化を象徴するような曲。サンプラーがなかった時代なのでエフェクターを駆使して「咳」や「笑い声」などの音を曲の中に入れている。デイトリッパーと同じく、DEVOの影響を強く受けた曲。



★アルバム解説★
言わずと知れた?1980年、日本で最も売れたアルバムです。あの山口百恵を超え、日本レコード大賞アルバム賞受賞。(驚)バイブル殿堂入りする「テクノポリス」と「ライディーン」を含む、日本の音楽界の流れを変えた歴史的アルバム。(←言いすぎか?)当時の小中学校の放送室を乗っ取った珍音楽アイテム。この年代の人物に聞くと皆同じ返答するので全国規模だったようである。(笑)今から考えると主宰人にとってアレはまさにナチスが心理的洗脳工作としてワグナーの音楽を街頭放送でかけていたのと同じであった。家に帰ってもテレビつければCMで使われまくり、街に出ればレコード屋ではもちろんのこと、近所のスーパーでさえYMO音楽をかけてる有様。(狂)このアルバムが主宰人のYMO中毒を決定的にするものとなった。(痛)音楽以外ではビジュアル面で本多三記夫氏のデザインした「テクノカット」と呼ばれる髪型が小中学生を中心に流行した。尚、テクノカットのヒントはクラフトワークではなく、中国中央楽団だそうです。このアルバムではディスコ路線であったファーストから一転、ニューウェイヴ化の現象が見え始めます。A面はディスコですが、B面から一気にニューウェイヴになります。それに伴って、以後はYMO曲にはボーカル曲が増えます。上記のバイブル2曲があまりにも有名ですが、それ以外の小技曲がこのアルバムを一層価値のあるものにしてます。このアルバム制作からアルファスタジオAに導入された国内初のコンピュ・ミックスを使用する。スタジオAには当初から日本初の16チャンネルマルチトラックレコーダーなどの最新設備が導入されており、自社スタジオでヘッドアレンジのような時間のかかる録音ができる恵まれた環境でアルバム制作ができたという意味ではYMOはラッキーだったと言える。松武氏のMoog3Cはこの時期スタジオAにほぼ常時鎮座していたという。アルバム名の「ソリッドステートサバイバー」は「病気から生き残った者=病み上がり?」という意味だそうです。1980年当時の東京の流行語="病気"を象徴するようなタイトルですが、発売直前まではアルバム名は「メタマー(変態・突然変異などの意)」になる予定だったらしい。ジャケットデザインは羽良多平吉氏、撮影は鋤田正義氏。当初はA&M側がイラストのジャケを用意してたらしいですが、結局それはシングル「Rydeen」のジャケに使われることになり、ソリステ用は急遽作ることになったらしい。衣装は当時話題となったユキヒロ氏デザインによる赤い人民服(実際は明治時代のスキー服をヒントにしたらしい)。メンバーの後ろに写る男女2人は誰?とか言う人がよくいますが、マネキンです。(笑) 因みに、YMOが初めて赤い人民服姿でステージに立ったのは1979年6月18日六本木BEEのプロモ向けライブだった。このときA&Mツアー担当者が来て視察している。YMOの衣裳は他にも超初期のころのタキシードプロモビデオ用テクノポリス2000-20ツアー用写楽祭用1980年ワールドツアー用(ロシア構成主義風/2バージョン)、1981年のウインタ-ライブ用、1983年の散開コンサート用(ナチス青年隊風)などが使用された。いずれもデザインはユキヒロ氏。