BGM
03/21/81発売
国内売上294,784枚(発売~1997年)
オリコン最高2位



Ballet
作詞:高橋幸宏・ピーターバラカン 作曲:高橋幸宏 編曲:YMO
タマラ・ド・レンピッカという19世紀のフランスの画家について歌った曲で、霧の中のワルシャワな感じを描いたらしいですけど、美術に疎い主宰人には何のことだかさっぱり分かりません。(汗)

Music Plan
作詞:坂本龍一・ピーターバラカン 作曲:坂本龍一 編曲:YMO
このアルバムで唯一、教授が作った曲。他の2曲「千のナイフ」と「ハッピーエンド」はソロ曲のリミックス版。よっぽど働きたくなかったんでしょう。(笑)

Rap Phenomenon
作詞:細野晴臣・ピーターバラカン 作曲:細野晴臣 編曲:YMO
細野氏のボーカルは低音部をカットしてるためヘンテコリンな歌声に聞こえるらしい。中間部の「バカバカバカバカバカ・・・・」はテープループだそう。ちなみに、Rapは黒人さんのラップミュージックと心霊現象?のラップをひっかけているらしい。まだ巷でラップミュージックがあんまし知られていなかった時代に早くもラップに目を付けていたとは流石にハリー細野さんである。

Happyend
作曲:坂本龍一 編曲:YMO
教授のシングル「Frontline」に収録されている「Happyend」のリミックス版です。この曲によって”アンビエント”とか”ダブミュージック”の強烈な洗礼を受けたYMOチルドレンも多いはず。ちなみに、ウィンターライブ1981で演奏されたのはシングルバージョンです。曲名の由来は教授が精神的に参っていた時期にもうこんなこと終わりにしてハッピーな気分になりたいという気持ちを表現したものだとか。細野氏が過去に在籍していたバンド「はっぴいえんど」とは何の関係もありません。(笑)

1000 Knives
作曲:坂本龍一 編曲:YMO
オリジナルは教授のソロアルバム「千のナイフ」に収録。曲名はアンリ・ミショーのメスカリン体験をまとめた本の中からとったものらしい。曲のイメージとしてはレゲエ・西洋カリブ・中世・讃美歌だそうです。メロディー的にはハービーハンコックの「Speak as a child」にインスパイアされているらしい。ノイジーなシンセはトーキングヘッズのエイドリアン・ブリューの影響があるという。ドラムパートの録音はボニーMのサウンドを参考にしたらしい。ハンドクラップ音に初めてTR-808が使用(ライブでは80年12月の武道館が初。)された。余談ですが、この曲は2回目のワールドツアーの演奏時にメンバーが片腕を挙げて演奏するシーンがありましたが、やはりドイツではやらなかったそうです。ま、正しい判断でしょうね。(笑)

Cue
作詞:高橋幸宏・細野晴臣・ピーターバラカン 作曲:高橋幸宏・細野晴臣 編曲:YMO
ウルトラヴォックスの「パッショネイト・リプライ」を真似て作った曲。教授はマネをすることには批判的だったらしく、この曲の制作をスルーしたとも言われている。結局、この曲は完全に細野氏とユキヒロ氏の主導の下で制作され、教授はほとんど関与してない。細野氏とユキヒロ氏はこの曲はロンドンと東京の共鳴作品だと喜び、YMO全作品中、最も気に入った曲ということです。録音終了後、記念撮影まで行われたらしい。(爆) 尚、この曲はウィンターライブミュージックフェア出演時では教授がドラムを叩き、ユキヒロ氏がキーボードという変わった形式をとっていました。教授が演奏するパートがなかったので教授自らドラムを叩かせろと名乗り出たらしい。シングルカット曲

U.T.
作曲:YMO 編曲:YMO
ヨーロッパの音楽雑誌「NME」で以前、「ハードコアテクノの元祖」と評価されました。だから何?って言われればそれまでです。(笑)間奏部のYMO3人の語りがよいです。UTとは、Ultra Terrestrial(超地球的存在)のことです。ところで、この曲のドラムは8ビートにディレイをかけて16ビートが追っかけてくるというユキヒロ氏オリジナルの珍テクニックです。因みにBGMのドラムではアルバム全体を通してゲートリバーブを多用している。ドラムにエコーをかけといていきなりカットするアレですね。細野氏はせっかくアルファが導入した3Mデジタルレコーダーの音が奇麗すぎるという理由でわざわざティアックの8チャンネル民生機で録音してから3Mのデジタルにダビングするという凝った手法を使ったが教授はそんなことする必要性がないと反対していたらしい。この曲のサビにはテクノポリス風のメロディーが。。。教授のクセで無意識?にそうなったということです。

Camouflage
作詞:高橋幸宏・ピーターバラカン 作曲:細野晴臣 編曲:YMO
一部の噂では「この曲は宗教音楽である。」と言われていますが、何のことだか分かりません。後半部分に「自分の声が自分を追いかけてくるのです・・・」というような聴き取りにくい呪文のようなユキヒロ氏の声が入っています。

Mass
作詞:細野晴臣・ピーターバラカン 作曲:細野晴臣 編曲:YMO
ヒジョーに重めの音楽ですが、当時の小学生には人気がありました。現代人に言わせると「ドラクエみたいな音楽」ですよ。たしかに言われてみると。。。BGMだし。(笑) 意外にもシングルカットもされている曲なのです。因みに、この曲のナレーションの声はピーターバラカン氏だそう。ロシア語で語られているようですが、ピーターさん曰く「ロシア語は高校で習っただけなので間違ってるかもしれない。」と後に発言している。(笑)

Loom
作曲:YMO・松武秀樹 編曲:YMO
分周器を使った自然界には存在しない無限音階(Shepard Tone)です。錯覚トリックです。この曲の原曲と言われるものは、松武秀樹氏が1978年にIIIC Magical Space Band名義でリリースした「謎の無限音階」というシングル盤に入っている。当時、細野氏は松武氏のレコーディング中にスタジオを見学していたらしく、いつかYMOのアルバムにも入れたいと思っていたのだろう。細野氏曰く、聴いた瞬間、何か恐ろしい予感がしたとうことで曲名はLOOM(来たるべきもの)に決定したそうです。曲のテンポはメンバー3人の呼吸の平均時間を計って決めたという、訳の分からないことを言ってます。E-muモジュラーを使用。



★アルバム解説★
発売当時、コケた、失敗作、YMOの時代早くも終わる、などと散々な酷評を食らった「BGM」です。YMOメンバーに言わせると「ライディーン2を作っても意味がない。今なら何やってもソコソコ売れるのでやりたいことやろう。」ってことでBGMを制作したらしい。で、結果は「コレがやりたいことだったんかい!」と思うような曲ばっか出てきました。教授曰く、「期待をはぐらかす快感を味わいたかった。」 ユキヒロ氏曰く、「ファンの切捨てをしました。」とナメた発言をしております。主宰人的には「期待をはぐらかされる快感を味わった。」とでも言ってやりたい。このころよく「裏切りのYMO」とか、悪口の意味で「BGM」がよく使われてました。(汗)主宰人も当時、ショックは隠しきれなかったす。が、このアルバムは年を追うごとに味が出てきて、その後かなり気に入って聴いていました。現在の多くのYMOファンはこの「BGM」と次作の「テクノデリック」好みが多いようです。このアルバムは教授の影がヒジョーに薄いアルバムとなってます。反面、次作のテクノデリックは細野氏が控えめ。このアルバムからメンバー3人が集まってレコーディングをすることはなくなって基本的に分業作業になった。 YMOは結成当時からバンドの全ての決定事項は民主制で責任も1/3としていた。その徹底したポリシーが個性的なメンバー3人を大きな対立もなく1つにまとめていたと言える。一説にはこの頃の細野氏と教授は仲が悪く、スタジオ入りを意図的にずらしてまで顔を合せなかったと言われてますが、確かに「Cue」の制作方針などで両氏の意見の対立はあったようですが、もしかしたらビートルズのポールさんとジョンさんみたいな関係をあえて演出してた?ようにも思えなくもない。もし本当に険悪な関係だったら教授の性格からするとトットとYMOをヤメてた気もする。(笑)このアルバムは当時のUKミュージックシーンに影響力が強く、このころからYMO似の音を発生させるポール・マッカートニー、トニー・マンスフィールド、ブライアン・イーノ、ウルトラヴォックス、ジャパン、ヴィサージなどが出現する。A面、B面共に1~4曲目は全て4分30秒、5曲目だけ5分20秒に統一されてある。ジョン・ケージの「4分33秒」を参考にしたという説がある。このアルバムのレコーディングからコンピューターはMC-8に替わってMC-4が導入された。MC-4は熱と静電気に弱いとされていたMC-8の改良型後継機で大幅なコストダウンしながらも鍵盤入力が可能となりメンドーな数値入力からついに解放された。何故かレコーディング時にスタジオ内で常にTR-808の音をループさせて流していたらしい。参考までに当時の主な機材の価格はMC-8が約120万円、MC-4が約60万円、TR-808が約15万円、Prophet5が約170万円。BGMのジャケは奥村靱正氏が描いた水彩画。デビッド・リンチ氏の映画のように日常の何気ない情景の中に潜むインパクトを表現したかったらしい。因みに原画は何かの展覧会で盗まれたとかで現存してないらしい。LPのオビには「お年寄りと子供は音量を下げて聴かないと体に悪い。近づいて聴いてはいけない。」というような趣旨の注意書きがあった。深く入り込んで聴くと危険なほど重いアルバムなので気楽に"BGM"として聴いてくれという意味がある。このアルバムから温泉マークがYMOロゴとして使われてますが、2回目のワールドツアー終了後にメンバーが温泉旅行に行ったことが影響していると思われる。このアルバムには歌詞カードが含まれていないのは印刷が間に合わなかったと言われてますが、直後に発売された写真集「OMIYAGE」にBGMの歌詞が掲載されたことから計画的な悪徳商法だったとか?(笑)"OMIYAGE"というタイトルはコピーライターの糸井重里氏がつけた。"YMOエイジに愛を込めて"という意味がある。制作費500万円をかけてBGM宣伝用に撮影されたテレビCMでは、細野氏が老人、教授が看護婦、ユキヒロ氏が警察官にバケている。(←分りますかな?)