マルティプライズ/増殖
06/05/80発売
国内売上450,815枚(発売~1997年)
オリコン最高1位



Jingle YMO
作曲:YMO 編曲:YMO
英国の海賊放送「ラジオロンドン」のジングルを教授が真似て作ったもの。スネマンのジャンキー大山さんの登場曲にも使われていた。

Nice Age
作詞:クリス・モスデル 作曲:高橋幸宏・坂本龍一 編曲:YMO
ニュース速報での「22番は今日で一週間たって・・・」の「22番」は元ビートルスのポールさんが日本で麻薬所持逮捕されたときの拘置所での番号。ナレーションの声はポールさんの来日時に同行役のクリスー・トーマス氏と一緒に来ていた元ミカドの福井ミカさん。たまたまレコーディング中にスタジオに遊びに来たときに収録したものだそう。Nice Ageはイギリスでは評判よかったものの、Citizens of Scienceと一緒に米国シングル向けの発売予定をしてましたが、余りにも前作のFirecrackerと曲風が変わったためA&Mが難色を示し結局発売されず。

Snakeman Show 1
大平元首相のKDD疑惑を知らないと全く意味不明となります。和訳はここ

Tighten Up
作詞:ビリー・ブッチャー 作曲:アーチー・ベル 編曲:YMO
何故こんなファンキーな曲がYMOに?という人がいますが、この曲は50年代にアメリカでヒットしたアーチー・ベル&ザ・ドレルスの「タイトンアップ」のパクリです。ちなみに、多くの人はこの曲で、「細野って言う人、ベース弾けるんだ。」と知ったそうです。(笑)シングルカット曲

Snakeman Show 2
日本の右翼や愛国主義者には絶対聞かせれないコントです。和訳はここ

Here We Go Again
編曲:YMO
「タイトンアップ」のアンコール。

Snakeman Show 3
麻薬を使用したことのある人、もしくは泥酔を経験したことのある人でないと意味不明状態になるかもしれません。(汗)

Citizens of Science
作詞:クリス・モスデル 作曲:坂本龍一
この曲は教授曰く、「意図的に音楽の胸を熱くさせるようなグッとくるものを排除させる」という考えで作ったということです。(←意味不明)主宰人が聴くとグッときちゃう。(笑)この曲は教授のソロアルバム「B2-Unit」のプロトタイプ的存在とも言われている。この頃、教授は音楽の要素をギリギリの部分まで解体し、機能しない音楽を作る、という目標を掲げていたらしい。そもそも教授は若いころは毒?のあるチャイコフスキーやワグナーを嫌い、ベートーベンなどの理論派を好んで聴いていくうちに感情や理念の入り込まないものに興味を持ち、伝統的な楽器を排除するようになった結果、電子楽器にたどり着いたと言われている。今はかなり毒を好んでいるようですが。。。因みに、ミカド時代からユキヒロ氏と交流があったクリス・モスデル氏はYMO初期の楽曲も作詞を担当してましたが、この曲ではついに自ら歌っている。彼の歌詞は欧米人にも理解しがたい内容が多かったものの、細野氏は歌詞というより音として響きがよければなんでもよかったらしい。(笑)しかし、ワールドツアー時に海外での歌詞やボーカルの重要性を痛感し、言葉や文化の壁に直面したことにより最終的に海外進出を諦めたとも言われている。

Snakeman Show 4
落語家、林屋マン平師匠が中国に公演しにいったときの模様です。似てますなあ。伝説のオヤジギャクがいろいろ出てきます。

Multiplise
作曲:エルマー・バーンスタイン/YMO 編曲:YMO
「ピチカート5に似てるぅ~!」とか言う人がいますが、「~に似てる」ではなく「~が似てる」わけです。あ、細かいことにこだわるな?(汗)イントロ部の「荒野の7人」のテーマ曲のパロディーはエルマー・バーンスタイン氏からしっかりとクレームが来たという。他にもベンチャーズの「アパッチ」などのフレーズも挿入されている。この頃、ライブでもスカ風アレンジにした曲が多くなったのは当時流行っていたスペシャルズに影響されたらしい。てゆーか、自分たちの音楽がパターン化されるとこを嫌い、常に新しいものを取り入れてたらたまたまスカになったとのことですが、スペシャルズの「Dawning of a New Era」という曲を聴くと一発で「あ、マネたな」とバレる。(笑)

Snakeman Show 5
NHKラジオの「若いこだま」のパロディー音楽討論会です。YMOも参加してます。流行語になった「いいものもある、悪いもののある」です。しかし、笑いのコンセプトは「見栄っ張り」です。(笑)

The End of Asia
作曲:坂本龍一 編曲:YMO
教授の曲のYMO版です。初期のライブから演奏されてた結果、ついにこのアルバムで収録されることになりました。但し、短いです。冒頭のスネマンコントでアレだけ日本をコケにしときながら最後は「日本はいい国だなぁ~」で閉めてます。(笑)教授的にはこの曲は東海道五十三次や広重浮世絵風なイメージだそうです。尚、この曲の旋律は細野氏のアルバム「はらいそ」に収録のウォーリービーズのメロディーと同じだそうですが、細野氏曰く、ウォーリービーズをペンタトニックスケールで書くとこうなるらしい。当時、細野氏はこの曲の類似性というか偶然性?を「カルマ」と呼んでいたが、本音としては「パクられた」という感じだったのかしら?(笑)

<番外編>

◆磁性紀
作詞:細野晴臣 作曲:坂本龍一・高橋幸宏 編曲:YMO・大村憲司
「増殖」には収められていない曲ですが、この時期に外しておけないYMO曲がこの「磁性紀」です。スネマンのアルバム「急いで口で吸え」に収められた曲です。YMOノイズ化の第一弾として作られました。実際に演奏してるのは、ユキヒロ氏のドラムと故大村憲司氏の雷ギター音だけで、あとは全てMC8による打ち込み演奏です。ドラムは次作「BGM」の「UT」でも披露したユキヒロ氏の追っかけ早打ちです。訳の分からない歌詞は「あ~も~イヤ、だ~け~ど~仕事、さっ。」と細野氏が言ってるらしいです。曲は「音楽は磁性紀に入った」という文句で始まるフジカセットテープのテレビCMにも使われた。当初、内容が不適切(質の悪いカセットテープを使ったようなノイズ音で始まるため?)だとスポンサーからクレームが来たらしい。ちなみに、この曲はモノラル録音です。何故モノラルだったのかというと、音質を悪くしてわざと聞き取り難くするたにめモノラルでトラックダウンしたという説や、当初はテレビCM専用に使われる予定の曲だったので予算カットしてステレオ録音しなかった説などがありますが、そんなアホなぁ~、って気もするが、そこがスネマンのアルバムらしくもある。(笑)但し、松武氏は「シンセサイザーはモノラルで鳴らすと音抜けがよくなる」と主張しているので、真相は謎のままですね。



★アルバム解説★
チャラケアルバムの決定盤。YMO多忙でもとにかく人気爆発中にレコード出して稼ぎたいというレコード会社の腹黒さがみえみえ。(笑)ということで、本作品にはYMO新曲はたったの3曲。あとはスネークマンショーやパクリネタで補うといういい加減さ。(笑)当初はパブリックプレッシャー2としたライブ物になる予定でしたが、メンバーが「そんなの出しても自分だったら絶対買わない。」と言うことで、急遽、このアルバムが企画されたようです。音楽的にはニューウェイヴ化が始まり、ライディーン時と比べると明らかに曲風が変化しつつあるのが分かると思います。でも、そんなことお構いなしにこのアルバムは売れました。当初、このアルバムは10万枚限定発売の予定でしたが、予約の段階で20万枚の注文が殺到したため限定発売は回避されました。当時ラジオ番組でコントと最新音楽紹介をしていたスネークマンショーの起用を提案したのはユキヒロ氏でした。オチのないギャグ、ブラックユーモアで聴く側をハラハラさせるぐらい危なかったっす。このアルバムに収録されているのはまだ安全な方です。アルバムの楽曲内容はともあれ、全作品中、一番YMOっぽいアルバムと言われてます。細野&ユキヒロ連合で進められたスネマン企画には教授は消極的だったようでして、そのストレスが武道館の写楽祭で爆発(通称バカヤロー発言=実際はうるせえぞコノヤロー)したとも考えられる。ちなみに、このレコードのサイズは25センチという変形で、大きさを埋め合わせするためにダンボール紙で覆われていました。ジャケのYMO人形はフジフィルムのCMポスター用に撮影されたものと同じ。300体作られた手作りYMO人形は撮影後、レコード店や家電量販店とかに飾られていた。尚、YMOオークションで落札された同人形の価格は3体で68万円。余談ですが、このアルバムの中のスネマンのコントに関連する林家三平氏、大平元首相、パンダのカンカンは奇怪にもアルバムリリース後のこの年にそれぞれ亡くなっている。祟りか?(怖)